
共同幻想論
みなさん、こんにちは。岡崎隆(@ryu_okazaki)です。
本日は、書評シリーズの第一弾です。

『共同幻想論』って、大学の安保闘争の時の本だという事は知っているんですけれども、マルクスとか遠野物語とか古い日本の本とかに言及してたんでしたっけ?

とっつきにくいんですよね。過小評価されてるんじゃないかって気はしてて、面白そうだとは思うんです。ただ、共同幻想の話って厳密には政治学とも違うし民俗学とも文学とも違うし、社会学なのかなあ。

共同幻想と個人幻想の関係を紐解く本だという事は知っているんですけれども、それが何みたいな感じなんです。
学術誌では、学問分野で言えば社会学や他の著作に紐づけて文学、哲学などの分野で論文が出版されたりしている今作。『共同幻想論』の世界を見に行く前に、今回の対象読者を紹介します。こんなこと、思ったことありませんか?僕はあります。
- 文学史で習ったけど、よく分からない
- 面白そうだけど、読んでみるのは気が引ける
そんな読者の皆さんと一緒に、丁寧に本書を読み解いていこうという企画が本企画になっています。著者・岡崎自身は高校で小規模ではありますが文学批評や歴史・文化の分析に基づく文学の研究をした経験があり、その時の文学の見方を生かして本書を読み解いていきます。
「難しくて完読できない」という人でも、このシリーズを読めばエッセンスがつかめるようなシリーズになることを目指しているので、長くはなりますが気長にお付き合いください。

著者、吉本隆明
では、まずは、本を読んでいく上で2番目に重要な要素から行きます。本を読み解く上で、著者に迫るのは重要な作業となります。吉本隆明とは、どのような人物なのか見ていきます。

著者を知るのにこのムックがおすすめなので、紹介していきます。
吉本隆明、月島で育った男
吉本隆明さんは、西日本で生まれて、月島に移住してきて、月島で育った人です。
代表作には『共同幻想論』『言語にとって美とはなにか』『心的現象論序説』の3作品があります。吉本さんの、情況や幻想、芸術などに対する考え方はこの基本的な3作品の周囲に浮かびあがってくるのだと思います。なので、この3作品を読むことで彼がどんな考え方をしていたのかに近づくことができます。

とても印象深い、吉本隆明という男を理解する上で大切なエピソードが一つあるので、紹介させてください。
みなさん子供の頃、道路の白いところだけを通って家まで帰ったり、タイル張りの床の線の部分を踏まないようにした経験がある人もいるのではないのでしょうか。吉本隆明の少年時代には、道路は舗装されているところとそうでないところがありました。
少年は、舗装されているところと未舗装のところの境界を超えるときに、必ず左足を先に出すようにして遊んでいたことがあるそうです。なんか、こういう逸話っていいものですね。聞くとうれしくなります。
まあ著者についてはおいおいやっていきましょうか。自由なブログなので、次に、本や随筆を読むうえで一番重要なポイントについて考えを馳せます。
執筆の動機
これは、難しい問題です。
人間のさまざまな考えや、考えにもとづく振舞いや、その成果のうちで、どうしても個人に宿る心の動かし方からは理解できないことが、たくさん存在している。
吉本(2020), 9頁, 8行.
つまり、たとえば戦争があるとする。戦争に行く。死ぬかもしれない。死ぬけど行く。死ぬ。名誉ではあるが、家族だって進んで自分の子どもが戦死してほしいと思うわけではない。
兵士(吉本さんの時代の場合には、学友が戦死する経験がありました。それに対する無力感や悲しみは想像できません)が国家の命令で自らの考えや、それに基づく行動を放棄するという事が起こるのは、一体全体どういうことなのだという事です。
ただただ命令されたので死にますと、そんな簡単なことじゃないだろうと。そんな簡単にあいつは命を落としたわけじゃないぞと、そういう事なのではないでしょうか。
ただ、これに関しても後々後追いで深めていきましょうか。
本書のテーマ
吉本さんは、人生を通して、何を言う人だったのかという事についても触れておきましょう。何を言っているのかは、3番目に重要な要素です。
吉本さんは、詩人でもあり、理系学生でもあり、マルクスの読者でもあり、知識人であり、考える人でもあります。戦時を生き抜いた人でもあり、日本人であり、文学者であり、エリアンという名の外国の少年でもあります。
これは、吉本さんの著作の中でも、難しい部分です。だからこそ、「共同幻想論 解説」とかのワードで検索されることが多いのです。
ただ、難しいからこそ、これは一筋縄ではいきません。この書評シリーズを通して、長い時間をかけて答えを探していくことになります。
なので、このシリーズは「簡単に要約が読みたい」という型には向いていません。ごめんなさい。なぜなら、この作品自体が、誠実に丁寧に書かれたもので、付け焼き刃の知識の含有割合が低いからです。
現時点での私の答えは、「共同幻想と個人幻想のかかわりが書いてある。どういうことか、と私の言葉を使って説明すると、民主主義や権威主義の政権に共通している要素で、個人の自由を国家が制限する条件を、イデオロギー的な要素を多分に含んで考察する」ということです。
ただ、決して文学批評として読まないでください。吉本隆明の人生を読み取るのが目的で、文学を学ぶ意味合いはございません。
参考ソース
まとめと次回のプランを考える前に、参考になるかもしれない情報のソースを列挙しておきましょう。
まずは、『共同幻想論』『心的現象論序説』『言語にとって美とはなにか』『遠野物語』『資本論』『NHKテキスト「共同幻想論」~戦後、最も難解な本に挑む 私たちは情報社会≒〈共同幻想〉にどう対峙すればいいのか~』があり得ると思います。
また、ほぼ日刊イトイ新聞の「吉本隆明の183講演」のデータベースも参考になると思います。
ほかには、吉本隆明について人々が言っていることも参考にするかもしれません。インタビュー等も敢行出来たらいいなと思います。それではそんなところでしょうか。

まとめ
今日は吉本隆明と共同幻想論のイントロ篇でした。
吉本隆明は、なぜ『共同幻想論』を書いたのか。そもそも彼は誰なのか。そして何を言おうとしていたのか。
- 著者について
- 執筆動機について
- 作品について
激動の時代に生きた文学者の考えたこと。気軽な気持ちでご感想をお聞かせいただけると、やる気につながるのでうれしいです。第2回も、まだ、本編には至らないかもしれませんが、是非、ごゆっくりとお付き合いください。
ほかにも岡崎隆のおすすめする本を知りたいという方は以下の記事をどうぞ。
このシリーズでは、吉本隆明が1968年に著した『共同幻想論』を解読していきます。本記事が第一弾記事となるので、足早に概要をつかみたい方には向きませんが、丁寧に解読と解説を行っていきます。共同幻想論は難しい本です。NHKの100分de名著でも取り扱われていますし、簡単にまとめた要約、あらすじが知りたい方はググってください。
丁寧に読みたい方のみ歓迎いたします。大衆の原像、対幻想、共同幻想、個人幻想と、その思想がマルクスや遠野物語、古事記から受けた影響、人々に与えた影響などなど。
今日の参考文献
吉本隆明. 2020.『共同幻想論』

コメント