イギリス留学の後悔と、人生が完全に変わった話【長短と得られた物】

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この記事は、40分で読めます。(目安)

こんにちは。岡崎です。

この記事をお読みになられている皆様は、私と同じようにイギリスに来ている留学生の方でしょうか。それとも、留学を検討されている高校生の方でしょうか。はたまた、社会人やYMSでイギリスに赴任・渡航してきている方でしょうか。もしくは、イギリスでないかもしれません。日本からの留学先は、イギリスだけでなく、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、NZ、シンガポール、中国など様々に選択肢が広がりつつあります。

今回は、一留学体験記として、私の人生観が、イギリスに来てどう変わったかということと、私がどれだけこの三年間の一日一日を内省しながら生きてきたかということを皆様にお伝えしようと思います。

読者の方が留学を検討中の方か、実際に海外で生活したことがある方かは分かりません。しかし、いずれにせよ、私という一つのケーススタディーをご参考にしてください。一人の日本人がどういう思いで渡英し、どういう葛藤や嬉しい経験を経て今に至るのかという話を整理して再構築したので気楽に読んで頂きたいと思います。
この記事を読み終わると、

1. イギリスでの一人暮らしの知識がつく(特にロンドン近郊・ロンドン外の純日本人としての一人暮らし)
2. 日本人の留学におけるありがちな後悔や失敗・葛藤にどんな種類のものがあるのか知ることができる
3. 留学しない選択肢と留学する人生を質的に比較するための参考情報を得ることができる

といったメリットがあると考えられます。海外生活経験者の皆様は「あるある」と笑って読んで頂きたいですし、海外生活未経験者の皆様の参考になるように一生懸命この三年間を思い出しながら留学生の人生について記していきますので、是非本編をお読み進め下さい。本編を読むのが面倒な方のために、ここで簡単に結論をまとめておきます。

1. イギリス留学をすることで、日本の大学生活では経験できないヨーロッパでの一人暮らしが貴重な人生経験になる
2. 英国高等教育の社会科学科目の教育は、厳しいがやりがいがある
3. メンタルが折れてもマイペースに前向きに頑張るべき

ということで、本編を読むと、イギリス留学をすることで今まで自分が持っていた世界観がダイナミックに変わるということがお分かりいただけます。ただこれは習うより慣れよ・かわいい子には旅をさせよの領域なので、あまりここに書いてある情報に囚われすぎず、実際に留学エージェントや家族と話をする中で、この記事の情報を参考程度に活用していただけると嬉しいです。また、実際に留学・赴任経験のある皆様の参考になる意見がありましたらXのDMでお知らせいただけると嬉しいです。それでは本編に移ります。

目次

イギリス留学の後悔と憂鬱

一般に、日本社会はイギリス社会と大きく異なります。日本社会で問題なく暮らしていても渡英直後はカルチャーショックに悩まされたり、数年たっても現地に慣れることができなかったり、日本とイギリスでちょっとした別人格を持つ人も多いようです。言語が違うので、当たり前と言えば当たり前のことです。

英語はインド・ヨーロッパ語族のゲルマン諸語の言語であり、日本語とは大きく異なるコミュニケーションの特徴を持ちます。言語の差は、ふるまいの差、空気の読み方の差、ボディランゲージの差など、生活のあらゆる場面で人を変えるので、日英で性格に差が出ることも不思議ではありません。なんら不安を抱く必要もありません。

具体的に、私が感じている、知っている日本社会とイギリス社会の差については別の記事で後述しようと思います。
※記事が完成し次第ここにリンクを挿入します。お待ちください。

私がイギリスに留学して経験した憂鬱な瞬間について説明する前に、まずは私自身のバックグラウンドについて簡単にキャッチアップしておきましょう。

イギリスと私

私岡崎良は、2002年に東京で生まれました。そして10歳のころ、家族赴任で父について西ロンドン・District line、Central lineの終点駅であるEalingの街に渡航しました。ロンドン日本人学校で3年間日本式の小学校教育を受けた後、父母をイギリスに残して日本の寮制中学校に入学しました。

高校生でIB Bilingual Diplomaを取得し、19歳でロンドン近郊のロンドン大学RHULに入学しました。現在22歳で、大学の卒業をすぐ後に控えている状況で、後進や同級の留学生の参考になって欲しいという願いで本ブログの更新を再開しました。

また、IBDPについての私の考えや知識も整理して記事にしようと思っています。鋭意構成・執筆・編集中なのでお待ちください。質問がある方がいましたらもちろんお気軽にDMいただけると返信できます。

イギリスと「日本人」

日本人は、海外に出るのが難しいです。これは知識として私が直感的に知っていることで、例えばヨーロッパ・英米・南米・オーストラリア・ニュージーランド・カナダ・アフリカと言った国々に生まれた若者に比べて、アジアや日中韓に生まれた若者は、英語圏やスペイン語圏の国に移住するのは一苦労です。

これは、大まかに「文化の違い」ということもできるし、労働条件や社会構造、教育機関や言語の壁など様々な要素を説明して細かくその差異を明らかにすることもできます。

しかし、一般的に日本人が海外に出ようとする場合、自分自身の意欲で以って海外の暮らしに適応していく努力が必要になります。これは、例えば海外ドラマや洋画を見るところから始まってもいいし、スポーツでもいいし、勉強したいことでもいいのですが、日本人としての常識が通用しない社会で生きていくということを徐々に受け入れていき、自分のライフスタイルを現地での生活に合わせて変革していく必要があります。つまり覚悟があればあるほど海外に行き、現地の暮らしに溶け込みやすいです。言いかえるなら、Open-Mindednessの大事さが海外では生死を分けます。

これは、日本社会に比べて欧米や海外の社会が多様性・国際性の面で進んでいて、「ぶつかり合って未知を受け入れる」文化が「社会常識に合わせて空気を読む」文化に比べて優位であるということが理由として挙げられます。

私が抱えたアイデンティティーの悩み(大学生活編)

特に大学という場所は、私にとって、未成年として入学して社会人として卒業するような場所、というイメージでいました。つまり、私は高校では友達と楽しく遊びながらぼんやり将来について考えていましたが、社会に出るまでの間に一人前の大人に少しでも近づきたいと思っていました。

そんな中でイギリスに留学することを選んだので、友達も少ない、知り合いも少ない、ライフスタイルも日本人の高校生としてのそれしかなかった中で、独りでどんな大人になりたいかを考え、数々の失敗と挫折に正面から向き合わなければならず、それだけは辛かったし、当時の日記を読み返しても悔しさややるせなさの記述が続いています。

日本にいれば楽だっただろうなあ、と思うんですが、これは一種の修行だと思って頑張っています。その修行の中で、特に悩みとなったことを紹介します。

✅日本人が周囲に一人もいなかったことが辛くなってきた話
 自分の大学生活経験の中で面白かったなと思うのは、周囲に一人も日本人がいない環境だったことです。これだけでも面白かったし留学してきた価値があったなと思います。そのせいで、軽い人間恐怖症にはなりましたが。あとでいつか書くかもしれませんが、海外にいると日本人が味方に見えるようになってくるんですが、僕の場合は最後まで日本人の知り合いができなかったので、在英邦人を見かけても「怖い」としか思えなくなってしまったのが憂鬱でした。「後悔」という切り口で見るのであれば、早めに日本人のソサエティーやインターナショナルの学生のグループを見つけてそこに入り込めれば、こんなに独りで悩んだり惨めな思いをしないで済んだのになあ、とは思います。1人だった副作用として、人生や自分に対する見方が深まったから結果オーライだと心の整理はついていますが、1年生・2年生の当時は相当苦しい思いもしました。
 しかし、今ではイギリスという国を大分好きになりもしましたし、ここに住んでいる人々も好きです。日本人がいてもいなくても、自分は自分なんだなあ、と思うようになってきました。これはありがたい事ですね。

自己PRを自分一人で見直す必要性が出て、他人任せにできなくなってしまった話
 ここでいう自己PRとは、就活でいう「自己PR」というよりは、普段の日常生活の中で感じる自分の性格・アイデンティティ―みたいな部分なのですが、日本で「みんなと横並び」で進学や就活を頑張ったり悩みを共有して共に切磋琢磨している環境から脱したことでこの悩みを持つに至りました。国際的にいろいろな人が入り混じる環境にやって来たことで、周囲に対して自分が一人で組み立てた「自分の人生のストーリー」を示せるようになることが気づけば必須事項になっていたことが、悩みを深めました。
 今までは、親や先生、友達や周囲との関わりを通じて自我や性格・自分の強みや弱みを把握しがちだった私ですが、全く自分のバックグラウンドを知らない他人に向けて一発で自分という人間を説明せざるを得ない場面が増えて、自分という人間を自分で理解しなおさなければいけないと感じるようになりました。この3年間を通し、実際自分の理解は深まったと思います。

自分が典型的な「日本人」性格だったこと
 留学生や渡英者の中には、フレンドリーでスッとイギリス社会に溶け込める人もいれば、なかなかイギリスの社会に溶け込めない人もいます。私は典型的に内向的であまり自分を曝け出せない後者のタイプでした。これは今でも悩んでいるどころか、一生悩むかもしれません。でも、これはまあ悩みというか生まれ持ったものなので、最近はもうまあいっか、と思ってすごしています。
 特に、これは別に日本人留学生全てが経験することではなく、私の後悔ということです。もっとopen-mindednessをもって最初からみんなと接せていればよかったな、と思います。それまでの人生で過剰に受動的で防衛的な性格・常識にとらわれてしまったという事でもあるので、高校時代までの自分に会う事が出来たら叱咤激励したいとも思います。ただ、そういう偏狭さに気づけたという意味でもよかったし、もう一度やり直せるならもっとオープンに、気楽に大学生活に向き合えるだろうな、と感じています。

社会科学学部生のイギリス生活

三年間というと、長い期間であり、私は留学期間を通していくつかの事を考えたり、いくつかの事をしてきました。私は悩んだり考え事をするのが好きな性格なので、他人よりも、外に遊びに行ったりするよりは部屋に籠って考え事をする時間が長かったと思います。ここでは、具体的にイギリスでの生活について説明したいと思います。どれくらい参考になるか分かりませんし、自分のパーソナルライフの部分とイギリス留学の一般的な話が混合しているので個人的な「留学体験記」であることをご了承の上読み進めてください。何なら、イギリス以外の国に留学する方や、自然科学、医学等の分野の勉強で留学してきた方はとばしてもらっても構いません。

学業・卒論

国際関係は、勉強するのが困難な分野です。多くの時事書籍が毎年発行され、各種メディアでも国際政治を扱います。しかし、本気で国際関係をやろうと思い一歩踏み出してみると国家間のシステムは存外複雑な理論や思想を用いて記述されていることが分かります。「国際政治経済」「国際法」「フェミニズム」「安全保障」「理論」「冷戦史」「テロリズム」など様々な分野がありますが、私の興味を引いた一分野として、社会構成主義と、コペンハーゲン学派、地域国際政治経済が挙げられます。逆に、私の興味を引かなかった分野として、「地域研究」「比較政治学」「(日本)政治史」「ゲーム理論」「IRの主要・批判理論」が挙げられます。

国際関係という学問領域に向き合うという経験は、私の人生に現在進行形で大きな影響を及ぼしています。この人生経験は、ただの学問・研究という意味を超えて、生き方・働き方・他の国の認識・他の国の人との関わり方まで考える契機になってくれています。

特に私の興味を引いている分野は、東アジアの国際政治経済・安全保障協力・社会文化的な連帯と調和です。

東アジアの国際政治経済・金融取極め

国際政治経済・IPEとは、アメリカを頂点とする経済的な協力と競争の構造(Architecture)とその歴史を分析する学問分野で、中国経済や東アジアの貿易協力・金融協力がどんな影響を国際的な経済体制に及ぼしているのかを考えています。例えばチェンマイ・イニシアティブと呼ばれる地域通貨スワップ協定は、ASEAN+の国が金融危機に瀕した際にこの協定を活用して通貨危機に瀕した国を救い、金融危機が他国に伝染することを防ぐための繋がりです。RCEPという協定では、貿易や技術・医療の分野での東アジアや東南アジアでの協力体制が構築されつつあり、こちらは現在進行形で協定自体も付随する研究も発展しつつある分野です。

非伝統的/軍事的な安全保障上の協力・外交

コペンハーゲン学派とは、安全保障の学派であり、特に非伝統的な経済・社会・環境等の安全保障課題に対策を立てるうえで地域的な協力がどういう意味を持つのか、また伝統的な安全保障学においては紛争や戦争の防止のために軍事的な協力、安全保障協力の枠組みがどのような役割を果たすのかを分析するというのが研究課題になっています。
テロリストや海賊のように、東アジア経済と貿易を支える体制を揺らがす安全保障課題に対処するために、ASEANで協力するということが地域にとって大きな課題になっていますが、ASCと呼ばれるASEAN域内の枠組みがインドネシアのリーダーシップによって強化されようとするも失敗するなど、ASEANの国々も簡単に一枚岩だということはできない情況になっています。
また、日米安保条約や地位協定、米中の緊張など、軍事的な対立を避けることのできないエスカレーションの危機も忘れることはできない情況が続いています。そういった分野では冷戦からの国際関係学の知見、特に紛争と戦争を予防し平和を守るためのリアリズムの枠組みが非常に役に立ちます。

なぜかとても日本人に人気なテーマ「安全保障」

なぜかは分からないのですが、日本のメディアや国民性・アイデンティティとして、国際情勢という大きな括りのテーマの中でも特に「安全保障外交」が人気を集めやすいようです。これは学術的にも非アカデミックにもそうで、例えば佐藤栄作賞や昭和池田記念財団賞のような国際政治系の懸賞論文のテーマでも「日本の安全保障」や「これからの国際・地域安全保障」といったテーマが選ばれる割合が高い感触を感じています。

自民党や立憲民主党と言ったメジャー政党かられいわの党・維新の会といった小さい政党まで、安全保障外交をマニフェストの大きい柱にしない政党は日本にはない気がします。イギリスも最近はルワンダ法案等で盛り上がりがありますが、政府として外交をしなければいけないテーマ・地域の緊張感が高まっているテーマとして安全保障的なテーマがずっと残っている日本・北東アジアならではのある種風物詩なのかもしれません。

私は、日本の国際関係の流れを見失わないように、時々上記で挙げたような学生一般公募の懸賞論文に応募することを習慣にしていました。日本とイギリスでは国際関係学の学問としての研究の強みや枠組み・高等教育カリキュラムや根底に流れている意識も大分違いそうだということも面白いです。

留学生の読者の方も、もしかすると留学準備の際に、自分の勉強数教科の日本語の大学教科書を購入して持っていくということがあるかもしれませんが、自然科学にしろ、どんな分野にしろ教科書ごとで違いがあり、その差について考えるのも面白いですね。

アイデンティティーと言説の再構築

社会構成主義・またはコンストラクティヴィズムを活用した国際関係研究も、見逃すことのできない魅力的なフロンティアだと感じています。このパラダイム下の学派では、フランスで発展した音韻論や記号論の系譜に位置する、「言葉(Signifier)」と「意味(Signified)」の関係性を意識して国際関係を俯瞰します。各国のメディア・偏見・ステレオタイプ・外交など様々な場面で作り出される「言説」と「ナショナルな物語」「ナショナル・アイデンティティ」の生成・再構築は、国際関係においても無視できない意味を持つことが、ここ二十年程で指摘され始めています。


例えば、台湾のナショナル・アイデンティティ―と国内選挙の結果は、台湾国内だけでなく、東アジアの地域秩序や日本の外交・中国の外交にも大きく影響を与え、間接的には東南アジアの国々にも影響すると考えられます。東南アジアの共同体であるASEANの価値や役割と言った部分も、言説を通して構成されます。
ASEANの参加国や北東アジアの国々、そして太平洋を取り囲むアメリカやオーストラリアなどの国々が対話をするSGDのような場でも、それぞれがどのように地域の将来像を描きイニシアティブを握ろうとするか、どういう外交が行われ、それらの動向にも注目が集まっています。

これらの考え事をしたり、論文を読んだり、研究をすることは、私の学習・人生について考えるうえでも大いに役に立っています。これらの勉強や休み時間を通して、自分がどんなことを書きたいのか・どんなことを研究したいのか・どんな人生を生きたいのかを日々更新しています。例えばですが、なぜ日本の自衛隊は国防軍として軍として我が国の安全保障を守るべきではないとされているのか、なぜ日本は占領後平和主義を掲げるに至ったのか、東アジアはEUのような共同体を現実的に構築できないのか、などの問いを検討し理解を深めるのは興味深い過程です。

卒業論文の取り組み(社会科学:国際関係)

卒業論文では、東アジアの経済協力について研究しました。東南アジア域内での経済協力体制はしっかりしていて、日中韓米の北東アジア+アメリカは外交や貿易関係がしっかりあるのですが、東アジア全体となると、北東アジアと東南アジアをつなぐ経済的なつながりはゆるいです。そしてそれを補完するためのIMF主導の枠組みが、GFSN(Global Financial Safety Net)といういくつかの枠組みの束であり、その一つ、東アジアに存在するのがCMIM(チェンマイ・イニシアティブ)という金融取極です。日本はAMF(アジア通貨基金)を設立しようとして失敗したという過去がありますが、地域の金融協力をリードするために、1997年のアジア通貨危機後、20年かけてCMIMを設立するイニシアティブを取りました。この枠組みについての勉強や研究生活が自分の国際関係との向き合い方を考え直す機会になりました。

英国高等教育〈社会科学〉の特徴と乗り越え方のヒント

イギリスの大学教育は、日本のそれと比べても優しいものではありません。たくさんの勉強時間と準備時間、独りでそれについて読んだり、調べたり考えたりして知識をつける時間が必要になります。

私が通っていた法律・社会科学部の国際関係・政治学科では、基本的に評価はエッセイとテストで行われますが、毎回の授業で議論に参加することが求められ、そこでのエンゲージメントが毎週の小テストや期末のエッセイ・レポート考査での重要な前提になってきます。
自分で論文を大量に読む必要もあり、決して楽なものではないし、言ってみれば現地の学生にとっても苦しい課程を留学してきて異国の言語で学んでいるので辛いに決まっているのです。
しかし、そういった厳しい評価と奥深い学問に向き合う覚悟を以って望めば、人文学・社会科学はとても面白く「食べがいのある」学習分野だと思います。

イギリスの大学を、交換留学にしろ、正規留学にしろよりよく過ごし、乗り越えていくためのコツとして、思い悩みすぎないこと学んでいる内容を好きになる事あきらめない事の3点を挙げたいと思います。

そして、周囲の国際学生サポートセンターやソサエティ、指導教員等はあなたの敵でなく味方であることも忘れないようにしておきましょう。

そして、私が一番言いたいのは、「ああ、今日のセミナーでは勉強不足で発言できなかった」「ああ、今回のレポートも準備不足で書きたいことが結局最後までわからずじまいだった」と思ったり、厳しい評価が返ってきても、落ち込まないで次に向かうことが大事なのではないかということです。

現地生と国際生では境遇も違います。ご察しの通り私も大学時代の成績には満足できずじまいでしたが、指導教員と話したり、しっかり勉強してセミナーで言いたいことを発言できたりすると、ああ、周りは暖かいなと感じました。評価においてあなたが国際生であることは勘案してもらえず、厳しい評価が付きがちです。いい成績がとれない場合、生活の他の部分に目を向けて気を落とさないようにすることが留学生活の充実のための大事なポイントです。

メンタルケア:他人と自分を比べてしまう場合

他人と自分を比べるというのはどの社会の人間でもやることです。上で、「現地生と国際生では境遇が違う」と書きました。これは事実なのですが、勉強を進めたり、インターネットで調べ物をしたりしているうちに、劣等感がたまっていくものです。「あの人はこんなに現地の友達ができている」「この人は学部生なのに学術記事を掲載している」という風に、悩みは募ります。

その中でも、一番よくないのが、周りの日本人と自分を比べてしまう事だと思います。生活してみると、実は現地生と自分の比較よりも日本人と自分の比較を通して私は無意識に傷ついたりしていました。「あの人はあんなに英語のコミュニケーションもボディランゲージも上手だ」「あの人はもう職に就いたけど自分にはそんなところに割けるエネルギーがない」といった風に、自分の限界を思い知らされます。

こういう時に私が意識していたことなのですが、私たちは皆違う人生を生きていて、同じ日本人だからと言って同じ能力を持ってここまで生きてきたわけではありません。留学して、新たな国で生活を送っている時、私たちは「日本社会でのみ通用した常識」の全てを捨てて新たな暮らしに適応しようとしているので、マイペースで良いのだ、周りと自分を比べるくらいなら、自分が今までの人生でしてきた努力や自分の物語をふりかえり、大事にしながら徐々に適応していけばいいのだということを考え続けてきました。そうすることで辛い気持ちが抑えられるのでおすすめです。

模擬国連

私は、大学一年生の頃に学内の模擬国連に参加し、最優秀新人賞を受賞しました。その時の議題は、ロシアによるウクライナ侵攻でもたらされた難民問題と人道危機というテーマで、私の担当国は韓国で、ある程度紛争の「外部国」として、国際的に足並みをそろえた決議案を作成しコンセンサスを重視するスタンスで中心的な交渉に助力しました。

政治学と模擬国連は、高校時代の私にとって大きな関心でした。高校2年になっても将来の進路がはっきりしなかった私は、自然科学系の科目での大学進学と人文社会科学領域での大学進学を天秤にかけ悩んでいました。

今の私が高2であれば音楽系の進学も視野に入れたと思うのですが、当時は音楽にそれほど熱意が無かったので、目の前に見えている候補ということで、生物・歴史学に関心を持っていました。それまで得意だったのは文学・数学で、中学の頃は寧ろ歴史学は苦手な分野でした。生物は面白かったのですが、生理学系の単元と神経系や消化器系の働き等を理解する部分でモチベーションが保てなかった結果、興味の方向が模擬国連と「国際関係」に変化してきました。

いわばその時国際関係を選んだのは「逃げ」だったわけです。今当時に戻れるのであれば、東アジア史を選択して、世界史と政治学に十分準備ができた状態で大学に入り直すと思いますが、当時は友達と遊ぶのがとにかく楽しかったので、勉強は疎かでした。そんな状態で今の大学に入学し、現在の国際関係の興味関心が形成されるまでモチベーションを保ってくれたのが模擬国連でした。模擬国連は交渉の練習やコミュニケーションの練習を通して国際関係や国際法史についての知識を体系的に付けられるというとても楽しいアクティビティーでした。

ちなみに、なぜ「政治学」だったのかというと、純粋に格好良いと憧れていたからです。国際的に活躍する日本人を尊敬していたし、国際政治でないにしろ、政界や外交の動向を時事ニュースなどでみるにつけ、政治的な知識や常識・教養としての側面以上に、世界について理解を深め、自分の人生を潤す分野の知識だと感じ国際情勢に興味を持ち、偶然その入り口が模擬国連となりました。

結局、大学に入ってしばらくしてから模擬国連はやめてしまいました。その理由としては、興味が移り変わったからです。詳しく説明すると、模擬国連はその競技性が特徴ですが、私はその競技性自体にはあまり熱意が注げず、法・歴史・政治・文化の知識が面白いと思うようになりました。その後の勉強については上記で説明したような各領域が意識の中心を占めるようになりました。国際政治の学習を通しても、例えばラテンアメリカの地域研究やEUの公共政策のように、言語的な壁なども相まって限界を感じる部分もありつつ、東アジアの国際関係のように自身のつきつつある分野も出てきました。

種々の息抜き

海外で暮らす中で、息抜きは日本で暮らしていた時とは違う種類のものになりがちです。物価も違えば、アクセスできる娯楽の数や種類も全く異なります。息抜きや趣味を一つとっても、別の国に移住することで世界観が変わったという方も多いのではないでしょうか。

私も、ヨーロッパ旅行や、各地のクラシック音楽を聴きに行くことが好きで、自分でヴァイオリンも練習しているのですが、それも含めて息抜きでは楽しい思いもしました。

息抜きや休憩が楽しいというのは大学生活において大きな魅力です。

日本では経験できないような息抜きとして、音楽や芸術、自然やバカンスとの関わり方の違いが国民性として顕著に表れるのがヨーロッパの特徴です。日の長い夏に避暑地に行ったり、逆に暑い国に行ったり、音楽祭にコンサートを聴きに行ったり、美術館やミュージカルに芸術に触れに行ったり、各地の市やマーケットに遊びに行ったりと、ホリデーは本当にいろいろな楽しみ方ができます。いきたいところが多すぎて困ってしまうというくらいではないでしょうか。

私も色々と旅行できましたが、イギリス国内はあまり色々行けていないのを後悔しています。エディンバラに唯一、一年生の最初のリーディングウィークに遊びに行きました。しかしこの大事な大学の学部時代に色々な場所に旅するというのは、それだけである種特殊な思い出になりました。これは、人生をいい方向に変革してくれるドライバーでした。

私はヴァイオリンの練習が趣味なのですが、趣味の範疇でも、大分今までとはモチベーションが変化しました。中学・高校の頃はあまり正直ヴァイオリンにもモチベーションを持てていませんでしたが、今は勉強の息抜きで以前より高いモチベーションで練習に向き合えていると思います。正直、優れたテクニックはないし、まだまだ基礎練にしろ譜読みにしろ甘いのですが、自分のやりたいこと・できることに対してモチベーションが高く保てるようになったという意味ではこれも一種海外留学の効用だと思います。環境を変えることで勉強など「本業」の中だるみを防ぐことができるというのは本当にそうだと思います。

自分の才能や希望・不条理な壁や努力不足に、慣れない環境で一人で向き合うということがいかに大事かを気づかされる毎日であるとともに、今できることを、できる間にやっておこうという意識が日々強まっています。

人生観が変わる、人生が変わる

当然と言えば当然のことなのですが、大学に入ると大人になった後の人生の青写真のようなものが作られ、人生観といったものも形成されてきます。

その時期をイギリスで過ごすことで、人生観が変わります。例えば私の場合であれば、16歳のころはまだイギリスに来ることが決まっていませんでした。漠然と、「イギリスの大学に行けたりしたらいいな」と妄想していましたが、実際に準備を始めるまではただの希望・願望・虚妄でした。

その時に想像していた自分の人生と、今想像している自分の人生は、大きく違って見えます

大学で勉強したこと・やって来たことを通して、大人としてできそうなこと・やりたいことがはっきりしてきたという以上に、イギリスという今までと全く異なる常識の社会で一人暮らしをしたことで、人生への向き合い方や、自分に足りていない部分・秀でている部分の見方が大分変化したというのが大きいです。

例えば私の場合、長い時間をかけて何かにじっくり取り組み諦めないで死ぬまでやり続けることが恐らく得意で、弱みとしては過剰に周りの空気を読んでしまい自分の主張を提案できないことなのだろうな、と気が付きました。これらはいずれも、日本にいては気づけなかったと思います。

日本で培ってきた常識や、無駄な小手先のテクニックをかなぐり捨てて、イギリスで自分がどこまで通用するのか見てみるというのは、トライする価値のあるチャレンジで、必ず充実した日々が待っています。それまでとは全然違うので、ほぼ確実に日々を充実させることができるとも言えます

今まで何とかなっていたけどこちらに来てから上手くいかない事や、反対に今までできなかったけどできるようになることが人生観をリセットさせてくれます。その結果、将来や人生そのものまで良い方向に自ら変革していけるので、留学は良いのだと思います。

まとめると、自分の才能と限界を見極めるには、環境を変えた方がいいということです。まったく違う国に来ても日本にいた頃と変わらず努力を積み重ねられる分野には自信を持っていいし、意外と諦めていたけれどこっちに来てから良いペースで続けられていることがあれば、それも意外と人生に組み入れてもいいものなのかもしれません。例えば私の場合、趣味のヴァイオリンが本当に楽しいです。

そういう自分の技量試しみたいな意味でも、迷っているなら留学してみるのは良い事だと思います。ただ、言っておきますが、留学を考え無しに肯定しているわけでは無いです。留学すればそれは嫌な思いもしますし、辛い思いが結果多くなってマイナスの感情で帰国することにもなるかもしれないということは重要です。まあ、マイナスだったとしても、人生の中に少しくらい運試しして失敗する時があったっていいと思いますけどね。

敢えて、私の留学体験をマイナスなベクトルでまとめてみると、「人間恐怖症になった」「英語が自身をもって喋れない」「成績が悪かった」の3点になります。これだけだと何の参考にもなりませんが、それぞれに留学特有の体験談があるので、それぞれについてまた記事を書くかもしれません。ただ、ちょっとこの言い方は大袈裟ですね。別に人間がすべて怖いという程ではないし、友達の前なら普通に英語も出ますし、身になる勉強もできたと思います。強いて言うなら、くらいの感じなので、結局、マイナスを見るより、ポジティブでいることの方が大切だというのが、留学生活の結論です。「我」を持つのが大事、という所に帰結しています。

おわりに

日本で生まれ育った私の社会科学部の留学体験記、いかがでしたでしょうか。読み返してみると、突っ込みどころや書き足りないところが色々散見されますが、文字数的に10000字を超えてしまったので、今後補足記事や細かい記事を付け足していくかもしれません。

今後書く可能性のある記事のアイデアをリストしておきます。

・留学準備記(日本の一条校におけるInternational Baccalaureate/ Bilingual IBDPの体験について)
・社会科学科目におけるレポートを書くコツ・セミナーを準備するコツ・論文を読むコツ
・イギリスに留学したら人間恐怖症になった話(note)
・イギリスに3年正規留学して自分の才能の限界を知った話(英語について・学業。note)
・ヨーロッパのおすすめオーケストラ・夏シーズンの音楽祭まとめ
・私なりの模擬国連攻略メモ(LIMUN/NMUNのご参考に)
・Ealingの街について(Broadway、Natural Natural、Green medical centre等)
・日本社会の特徴、そして日本と英国の社会の違い

「留学体験記」という立て付けで、私の留学のかなりパーソナルな悩みに至るまで書かせていただきました。参考になったら幸いです。まとめてみると、

・留学して後悔したこと
・イギリスの大学生活で経験できる社会科学科目のカリキュラム・学習内容
・留学後の人生の変化

の3点が大きなポイントです。

私自身、留学するというのは人生でも最大規模の新しい挑戦でした。その中で、様々な変化を経験し、それに必死に適応しようとしてきました。最初は分からないことだらけでしたが、最近少しずつ何が分からなかったのかを分かるようになってきたきたします。
世の中の留学生・在英邦人の皆様が一人一人こういう不慣れで不条理な環境に向き合っているというのはすごい事だなと思う一方、自分が経験した葛藤や問題の全てを将来イギリス留学・滞在する皆様が経験する必要は無いなとも思います。
これからイギリスに残る数カ月の間だけでも、色々情報を集めて発信しようと思います。皆様のお役に立てる情報を意識して発信していくので、今後ともEnlightをよろしくお願いします。今回の記事は、相当力を入れて書いた記事であり、本ブログの投稿再開の記念すべき第一号の記事となっています。

それでは、次の記事でお会いしましょう。

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この記事を書いた人

岡崎 良のアバター 岡崎 良 サイト運営

こんにちは。岡崎良と申します。元イギリス留学生で、現在は大学院への進学を控えつつ本サイトEnlight/Intl. Relations HUBを運営させていただいております。国際関係の中でも東アジアの地域協力、日本政治思想史、戦後の移行期正義に興味があります。

北関東の田舎から英国の田舎へ流れ着いておととし2021年より本ウェブサイトをX(旧:Twitter)やYoutubeチャンネルと併せて運営しています。

当ブログでは、経験に基づいたイギリスの留学情報や、人文・社会科学・法学等にまたがる国際政治の情報、ブログについて発信していきます。

価値のある情報を発信できるように意識しつつ、幅広い記事を心掛けます。お力になる記事を書けるよう精進します。頑張ります。
ご訪問ありがとうございます。良ければ記事を見ていったり、Xのフォローもよろしくお願いします。

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