【IR】国際関係の研究方法・メソドロジーの特色について【ブログ】

こんにちは。岡崎です。

本記事シリーズ【IR】では、国際関係の学習・研究について、私が備忘録として見直す用のメモを漸次作成し、記事として公開していきます。
「ブログ」というと本来は読者の役に立つ情報を体系的に公開するプラットフォームですが、 ここでは「ブログ」をただ本当に学習の記録、研究の補助資料、電子ノートとして活用していく副作用として、読者の皆様の知識の整理の一助にでもなれば幸いと考えている次第です。


大体、一つの記事で、4000字前後で大きな一つの学問上のテーマについて記述していき、その中でも筆者が詳しく整理しておきたいと感じている論点について掘り下げる形になる予定です。例えば、今回の研究方法の記事であれば、インタビュー取材と、言説分析、テキスト分析、量的研究etc.の全てに等しく焦点を当てるわけではなく、私が興味を持っている言説分析手法について深めに掘り下げてみる、という恣意的にバランスの悪い記事になります。また、記事によって、どういった学者の論文を参照するかもイマイチバラバラではありますが、ご希望があればコメントやXへのDMをいただければフォローアップ記事も鋭意執筆いたしますので、記事内で取り扱われるテーマのバランスの悪さについてはご勘弁のほどをよろしくお願いいたします。

お断り:特に筆者は国際関係について優れた見識や知識を持っているわけではありませんが、ただ下手の横好きで国際関係の更なる勉強を志しています。ただの平凡な学生の国際関係考察シリーズだととらえていただけると至極恐悦に存じます。

お断り2:知識の質が悪いことを自覚しているので、なるべく更新量を増やしていきます。よろしくお願いします。

さて、今回のテーマは、研究方法・国際関係学のメソドロジーについてです。

まず、本論に入る前に、語義について明確にしておきましょう。

  • METHOD / 研究方法
  • METHODOLOGY / 研究の方法論

国際政治学の研究において、メソッドと言えば、研究方法のことで、例えばインタビュー、文献調査、質的(量的)調査、統計的手法などが含まれます。国際関係学ばかりではなく、社会科学一般の研究において、研究方法の項目は重要な項目であり、学生や研究者は常に、自分の研究に最も適した研究方法を選び取ることが必要だとされます。

メソドロジーとは、方法論のことであり、どういう研究方法を取るかだけではなく、研究計画の全てについての議論が、研究の方法論の議論となります。例えば、こういう先行研究を探してこういうRQを立てたい、というような話は、研究方法の話というよりメソドロジーの話になります。研究のグランド・デザインも、研究方法と同じように、丁寧にチューンアップされる必要があり、最適な研究の方法論を模索することが必要です。

これらの用語を正しく把握しておくことは、自然科学にしろ、社会科学にしろ、科学的なリサーチを行ううえで絶対的に必要になってきます。国際政治を論じるときには、これは難しいポイントではあるのですが、書く内容によっては、ポリシー・ペーパー的になることもあれば、リサーチ的なものもあれば、理論のフレームワークに頼らずに、歴史的な記述・哲学的な論考が求められる、よりアカデミックなエッセイ・ライティング科目としての側面が大事になってくることもあります。

なにはともあれ、次段落以降の本論では、国際関係研究が、リサーチ・クエスチョンRQと仮説Hypothesisを立て、研究を経て結果を示し、分析と振り返りを行うという伝統的な社会科学の研究フレームワークに基づく「国際関係の方法論と研究方法」について説明していきます。

目次

国際関係の研究:方法論と研究方法

まず、推測と断定的な事実を織り交ぜないように、知識のベースとなる書籍の出典を示しておきます。

Wisker, G. (2009) ‘8 Research Methodology and Methods’, in G. Wisker (ed.) The Undergraduate Research Handbook. New York: Palgrave Macmillan, pp.88-98.

ちなみに、研究方法の選定に限らず、Research Handbookのような本がさまざまな出版社から様々な科目に適したフォーマットで発行されていて、学部レベルでも院レベルでもお役立ち情報が満載なので研究の際はぜひ参照されることをお勧めします。

今回参考にする底本としたのはPalgrave MacmillanのResearch Handbookです。

それでは、具体的に国際関係学の研究について説明していきます。

上記に挙げた書籍では、研究の「システム」という言葉を用いて、研究の各段階を説明しています。まず、方法論の議論を通して、研究計画を立てる。それから研究方法が決まって、実際の分析を行い、結果が解釈され、振り返りが行われ、研究プロジェクトが終了する、という一連の流れがあります。

国際関係研究は多様な形態をとります。つまり、多様な研究方法、という以上に、史的研究・インタビュー・実証主義的研究・演繹的研究手法・統計的研究手法など、様々な研究スタイルが選ばれます。

例えば、インタビューやフォーカス・グループ、ケース・スタディーは研究手法ですが、これらはいずれも、研究の方法論的には、質的研究手法であり、ポスト実証主義的で解釈的な手法であり、帰納的論理で進む研究と言えるでしょう。対照的に、統計的な研究や、サーベイ調査といった研究は、方法論で言うと、量的研究であり、実証主義的であり、演繹的な論理で多くのサンプルから一つの知識を導き出す研究だと言えそうです。

今挙げた研究の方法論におけるそれぞれの要素がどういう意味を持つ用語なのかを、以下で解説していきます。

その前に、まずは、「方法論」「研究方法」に並ぶ重要語彙、「存在論」「認識論」について解説しておきます。

存在論(Ontology)と認識論(Epistemology)

  • 方法論Methodology : 研究がどういうシステムに基づいて実行されるかの総合的な思考・議論
  • 存在論Ontology : 何がリアルに、研究の対象として存在しているのかを議論するための項目
  • 認識論Epistemology : 研究者が、どのようにしてその知識を「知る」のか議論するための項目

いかがでしょうか。少しわかりにくいかと思います。しかしこれらは、我々学生や研究者が、国際関係など社会科学の研究を行う際に親しんでおかなければいけない最重要用語です。

どんな方法を選ぶのか、という「研究方法」に対して、我々はどんな研究を行うのか、というのが方法論でした。そして、例えば国際関係であれば、国々はどういう研究対象として存在しているのか、を調べるのが存在論で、我々は国々の関係性や秩序についての知識をどのように得ているのか、を詳しく調べるのが認識論の領域になります。

社会科学の研究対象は、自然科学よりもさらに曖昧です。実態を伴ったりそうでなかったり、存在していたりしていなかったり、いつどのようにして知識が生成され、普及しているのか、という解釈が困難なプロセスについても我々の研究の関心は及びます。

そういったとき、自分の研究計画や実際の研究執筆において、「ここは存在論の範囲」「ここからは我々の脳内における認識論の議論の範囲」という風に分けて考えられる力が大切になります。

研究における(ポスト)実証主義・演繹/帰納法の論理について

研究のプロセスにおいて、社会科学の一分野としての国際政治にとって大事なのが、その研究がどういう類の研究で、どういう強みと制限を持っているのかを常に自覚的であること、という要素が挙げられます。

つまり、政治学の中でも、割と比較政治学的に、自然科学に近い形で、再現性の高い数値化され操作化されたデータを扱っているのか、歴史学的に、または社会学的に、質的なsmall-n(サンプルの母数が比較的少ないデータ)のデータを扱う研究なのか、という違いは、同じ研究テーマを扱っていても二つの研究を結果として全く別物にしてしまいます。

前者の、比較的実証に重きを置いている研究の考え方を実証主義と言い、後者を非実証主義的・ポスト実証主義的・解釈主義的研究と言います。英語では、Post-Positivsm/Interpretivismです。さらに、それに伴い、実証主義的研究では量的データを扱うことが多いですが、その場合数あるデータから共通項を見いだす演繹的論理、後者の歴史系の解釈主義的研究では一つのデータの固有性に重きを置く帰納的論理を用いることが多いです。

先ほどの、研究の方法論、研究対象や取り扱う知識の存在論、認識論と共に、自分の研究のデザインが実証主義的なのか、ポスト実証主義的なのかは大事な観点になり、研究によっては二つをミックスすることもあるため、常に自分の研究がどちらであるべきかを考えておく必要があります。

研究手法

一つとして同じ研究は無く、研究デザインもそれぞれですが、学部生・院生でも使いやすい研究手法には、以下のようなものがあります。

例えば、インタビュー系の調査には、問答を事前に想定しておく構造型・意図的に会話の流れの中で話題の創発を狙う半構造型インタビュー、非構造型インタビュー、同時に複数の対象にインタビューするフォーカス・グループ、選択肢型の質問を投げかけるサーベイ調査があります。

ほかには、テキスト分析には言説分析、質的/量的なテキスト分析、CDA(批判的言説分析)などが存在します。CDAについては次回詳しい記事を書いてみます。テキスト分析以外では、統計データを利用する分析や様々なタイプのケース・スタディ、エスノグラフィー等も存在します。

まとめ

今回は、研究の方法と研究の方法論について説明しました。国際関係研究においては、その初期の研究計画段階から、分析の実行、解釈と振り返りのフェーズに至るまで、自らがどのような利点とどのような限界点を認識してどのような研究のシステムを採用し、どのように知識が認識されるのか、研究対象がどのように存在しているのか等にも気を配らなければいけない、という点についてざっくりと書いてみました。

書いていて自分の記憶もリフレッシュできたので、次回のこのシリーズの記事は、それぞれの研究手法についてもう少し詳しく見ていこうかなと思っています。ありがとうございました。それでは、また。

参考文献

Wisker, G. (2009) ‘8 Research Methodology and Methods’, in G. Wisker (ed.) The Undergraduate Research Handbook. New York: Palgrave Macmillan, pp.88-98.

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岡崎 良のアバター 岡崎 良 サイト運営

こんにちは。岡崎良と申します。元イギリス留学生で、現在は大学院への進学を控えつつ本サイトEnlight/Intl. Relations HUBを運営させていただいております。国際関係の中でも東アジアの地域協力、日本政治思想史、戦後の移行期正義に興味があります。

北関東の田舎から英国の田舎へ流れ着いておととし2021年より本ウェブサイトをX(旧:Twitter)やYoutubeチャンネルと併せて運営しています。

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