はじめてエンライトにお越しいただいた読者の方、始めまして。
本媒体エンライト・唯一のライターの岡崎良と申します。
本日は、先日ロンドンのWigore Hallにて決勝が催された国際弦楽四重奏コンクールで優勝したOpus13弦楽四重奏団の演奏をレビューしていきます。
なぜこの演奏を聴くべきか。それは、非常に質の高い弦楽の演奏が聴けるから、だけではなく、それが簡単にYoutube上で無料公開されているからです。
ではなぜ、私がこのコンペティションの記事を書いているのかというと、それは個人的に私が何度かこのホールに足を運んだことがあり思い入れのある場所で、インターネットに無料公開されるような名声高いクラシックのコンペティションが行われていて皆さんにぜひ聞いていただきたいと思ったからです。
まずは、本コンペティションの概要と、Opus13が演奏した曲目の概要を説明してから、演奏について書いていきます。
先ほども書いた余談ですが、このコンペティションはYoutubeで公開されているので誰でも視聴することができます。ご興味のある方は是非聞いてみてください。
以下のリンク、本選決勝のYoutubeリンクの2:09:30あたりから始まる演奏が優勝したOpus13カルテットの出番です。30分程度で聞けるので、ぜひどうぞ。
ウィグモア・国際弦楽四重奏コンクールについて
本コンクールは、三年間隔で米会月上旬に開催されているコンペティションで、前回は2022年の開催でした。2010年が第1回、今回は第6回の開催となり、次回は2028年だそうです。

Wigmore Hallはロンドンのボンド・ストリート駅から歩いて20分くらいのところにある音楽ホールで、夕方のオーケストラからランチタイムの小規模コンサートまで様々な演奏を聴くことができるイギリスらしい格式高いホールです。
今回の本選決勝には、今回3位入賞となった日本のQuartet Integraも参加していたようです。その曲目は、ベートーヴェンのカルテット第7番です。
Quartet Integra:
Vn 三澤響香さん・菊野凛太郎さん
Va 山本一輝さん
Vc パク・イェウンさん
機会があれば、聞いてみたいと思います。
Opus13 カルテット(弦楽四重奏団)について
そして、今回演奏を聴くOpus13 String Quartetはスウェーデン/ノルウェーの弦楽四重奏団です。今年で結成11年だそうです。第1ヴァイオリンの方がSonoko Miriam Weldeという方なので、もしかしたらルーツに日本人があるのでしょうか。以前にもいくつかのコンペティションや音楽賞で成績を残しています。
ベートーヴェンのカルテット13番(作品130)について
曲目は、ベートーヴェンの弦楽四重奏変ロ長調 第13番 Op. 130です。
この曲は1825年に書かれた6楽章構成の四重奏曲です。
四重奏曲、あるいはカルテットは、ご存じの通り、四つの弦楽器が演奏をする形式のクラシックの作曲の種類です。パートはたいてい第1・第2ヴァイオリンとヴィオラ、チェロがそれぞれ1パートずつを担当する形式になっています。
ベートーヴェンは1770年から1827年までの56年の人生の中で16の弦楽四重奏曲を作曲していますが、この曲は最後から2番目、15番目に作曲された曲で、ほぼ晩年に値する逝去の2年前という時期に作曲されている曲です。
それでは演奏のレビューに移ります。
演奏について
まずはじめに、最近はこういうことが多いのだとは思いますが、とにかく、楽譜をiPadに表示させて譜面立てに立てかけて見ながら演奏しているのが現代のスタイルらしいなと思います。
それはさておいて、演奏についてですが、精細な音の粒とボウイングのコントロールと息の合い方がピッタリです。
個人の演奏技術の高さはもちろんとして、まるでカルテット全体が一つの楽器かの様な、初めからズレという概念が存在しないかのような素晴らしい合わせ技は、まったく不安になることもなく聞いていて心地が良いです。
水が流れるように楽しげな速度感をもった第1楽章・スケルツォから・舞踊音楽のような第3楽章、それから第4・5楽章があって最後に急激にまとめ上げるような第6楽章で締めるという、普通のコンチェルトやシンフォニーとは異なる弦楽四重奏曲だからできる自由を感じられる曲の構成です。
この決勝での曲目は、カルテットによって異なるので自由に選択できるものなのでしょうか。楽器が4本しかないのにとても厚みをもって聞こえる音の広がり、ベートーヴェンがよく用いる特徴的なチェロの伸びやかな重低音、どれをとってもこの曲はこのカルテットの人々のために作られたかのような丁度いい解釈・演奏になっています。
ベートーヴェンは、運命や悲愴のように重苦しいと思われがちな曲や、交響曲第九番のように壮大な世界観を備えた曲に特徴づけられます。この四重奏曲も、世界観の豊かさは、後期ベートーヴェンを思わせる重厚さがあり、Opus13の演奏家たちはその重厚さを弾きこなしていると言えると思います。
互いの相性が良いのでしょうね。強弱やボウイング(弓使い)の特徴などがぴったり合致して、とても音が遠くまで響き、全体で一つの曲が完成している感が映像からも伝わってきます。
それに、Youtube配信のアーカイブですら非常に全体の完成度が高く聞こえるので、現地で録音された音源がCD化などされていたら(恐らくされないと思いますが)、とてもよく聞こえるだろうな、と想像します。
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか。みなさんにも、音楽コンクールの決勝戦の雰囲気が伝わりましたでしょうか。普通、Youtubeではこういうものは配信しない(テレビでも)ものだったし、最近は配信されるようになっても、アーカイブまでもが無料公開されるという太っ腹な処置がとられることは中々ないと思います。
いかがでしょうか。ご興味が湧いたら、ウィグモアホールのYoutubeチャンネルで公開されている他のアーカイブもご覧いただくと面白いと思います。
それでは、次回の記事で。

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